九州大学ワンダーフォーゲル部【活動レポート】   

2009年夏合宿 後立山連山(北アルプス)

2009/8/13〜18
○パーティ:20人
文:さかい

(凡例 〜:公共交通機関、=:徒歩、<>:ピストン、=の間の数字は分、()内はその日にかかった時間)
※ピストンとは、分岐等にメインザックを置いて、最低限の荷物だけ持って登って元の場所に戻ってくること


8月13日 JR箱崎駅〜(JR)〜JR信濃大町駅
8月14日 JR信濃大町駅〜(タクシー20分)〜扇沢
扇沢=80=大沢小屋=《針ノ木雪渓》164=針ノ木小屋※<=49=蓮華岳=33=針ノ木小屋> (5h26m)(幕営地まで4h04m)
8月15日 針ノ木小屋=52=針ノ木岳=49=スバリ岳=120=赤沢岳=103=鳴沢岳=40=新越山荘=99=種池山荘 (7h43m)
8月16日 種池山荘=50=翁ヶ岳=65=冷池山荘=69=布引山=48=鹿島槍ヶ岳・南峰=148=キレット小屋(6h20m)
8月17日 キレット小屋=102=口ノ沢のコル=143=五竜岳=40=五竜山荘=127=唐松岳頂上山荘※<=20=唐松岳=15=唐松岳頂上山荘>(7h27m) (幕営地まで6h52m)
8月18日 唐松岳頂上山荘=66=八方池(第三ケルン)=45=黒菱平(1h51m)
黒菱平〜(ゴンドラリフト)〜八方

略図

8月13日

僕以外は箱崎(福岡)を4:56に出発。


▲車内の様子。熟睡。

僕はみんなとは別行動で、兵庫県から出発。午後9時ごろ、一足先に信濃大町に到着。ひとりで町を散策するも、これといってめぼしい店もない。 居酒屋くらいである。ただ、スーパーが遅くまで開いていたのは助かった


▲一行到着!ゾロゾロ。

午後11時半、九大WV一行が到着。マルタくんは僕になんだか状態の悪いバナナをプレゼント。その後、彼らは早々にコンビニや牛丼屋に散っていった。

今日の寝床は駅前広場。比較的綺麗なトイレがあって、ビバークスポットとしては不足ない。そうそう、例のバナナはナカハラさんからの嗜好品なのだそう。


▲今日の寝床。

8月14日

朝6時。当初バスで扇沢を目指す予定であったが、タクシーの運ちゃんの猛烈なアタックによって急遽、タクシーをつかうことに。 ちなみにこのタクシー、運転手のほかに5人の乗客が乗れるタイプで、バスに乗るよりも安く扇沢に行けるそうである。

タクシーに乗って20分、扇沢に到着。意外と近い。扇沢は登山客であふれていて、にぎやか。天候も良く、これからの山行も期待できそう。わくわく。


▲扇沢

トイレや水汲みを済ましたあと、6:55出発。森や沢を通り、3ピッチで大沢小屋に到着(8:26)。しばらく休憩。


▲沢の花


▲大沢小屋

大沢小屋には暖簾やバンダナ、バッジなどなど品ぞろえがよく、とくにあの暖簾は部室に飾ってみたいという衝動に駆られた。買わんかったけど。

8:45大沢小屋を出ると、しばらく道なりに森を抜けていく。すると現れるのが針ノ木雪渓。合宿一日目にして現れる巨大な雪渓に部員はさぞわくわくしたことだろうが、 こいつがなかなかきつかった!スリップに関してはあまり心配なく、アイゼンも必要ないくらいだったが、何といってもこの急勾配。 45度以上あるんじゃないか?


▲急な雪渓。


▲イマジョウ氏いわく、「ラントクルフト」

やっとのことで雪渓を登り終える頃、一見水場とも思えない小川で水をくむ。針ノ木小屋には水場がないそうなので、ここで汲まざるをえない。

ここから針ノ木峠まで水歩荷するのだが、その間がなかなかの急騰。S字の道をくねくねとゼエゼエ言いつつ進む。無心になったころ、ようやく針ノ木峠に到着(12:23)。 とりあえず今日の目的地に着いたことになる。(大沢小屋から針ノ木小屋まで5ピッチ。)


▲急な登り。


▲針ノ木峠

テントを張ったあと、希望者で蓮華岳をピストン(14:05出発)。荷物が無いので足取りは軽い。はじめ少し登った後は緩やかな道。 針ノ木峠からでも見えたが、高度があがるにつれて北アルプスの山々が大パノラマで見渡せるようになってきた。白っぽい岩石に瑞々しい若草の緑。 蓮華岳は素晴らしい眺望の山だった。(15:02到着、15:32出発。)


▲蓮華岳をめざす。


▲A隊集合。


▲大パノラマ!

16:05針ノ木峠に帰還。


▲針ノ木峠からのヤリ。


夕飯のあと、マルタくん、オクヤマくんなど数人は星空の観察をしたようである。とてもきれいだったそうで。

8月15日


▲朝

5:00針ノ木小屋発。相変わらず北アルプスの山々がぐるりと見渡せる。1回の休憩の後、針ノ木岳に到着(5:57)。ここではなんと富士山もみえた!


▲A隊。立山をバックに。


▲B隊一行。


▲富士山?

6:15針ノ木岳出発。この日は歩く距離が長く、歩けども歩けどもつかないため、うんざりした。 休憩1回、スバリ岳(7:09着、7:19発)、休憩3回、赤沢岳(9:37着)。

昼食。魚肉ソーセージの本数の多さに愕然とする。2本は多い。うち一本はキュウリにすべきだ。


▲和気藹藹と昼食。

10:23発。休憩1回、鳴沢岳(11:25着、11:35発)、新越山荘(12:15着)。トイレもあるし水もあるし、休憩。B隊をしばし待つ(筆者はA隊)。

12:50発。種池小屋に向かう途中、雷鳥に遭遇。5羽くらいが群れになていて、人間が近づいてもまったく怖がる様子もない。 丸っこいフワフワしたそれはとても愛らしく、道の反対側から近づいてきたおじ様や我々A隊の格好の被写体となった。


▲天然記念物、らいてふ。

少し心躍ることもあったが、今日の行程はなんだかきつい。へとへとになりながらもラストスパートをかけて、種池小屋に到着(14:48)。

遅延が心配されたB隊のメンバーもどうにか到着。テン場が狭いため、急いでテントを張る。

夕飯後、小屋の前でPL・SL会議。(実質上級生会議。)議題は足を痛めたハバくんと、体調の悪いコマツさんの処遇。 紆余曲折の話し合いの末、二人とも明日下山ということになった。また、丸田君の装備も議題に上り、外付け装備の禁止と過剰な防寒着の放棄を求める判断が下された。


▲会議中。

8月16日

早くも、合宿の中日。5:00発の予定が、5:20発となった。まだまだ、集団としての規律が甘い。扇沢に下山する二人と別れ、一路爺ヶ岳へ。 休憩を1度はさみ、そこに到着(6:10)。爺ヶ岳からはこれから目指す100名山の鹿島槍ヶ岳があたかもバットマンのように見えた。


▲BATMAN!!

6:15出発、休憩1回、冷池山荘(7:08着、7:25発)。山荘を出ると、道端にたくさんの花が咲いていた。 日の光に照らされて鮮やかに咲くようすは、見る者の心を弾ませる。そんなとき、岳人の取材の方々に出会った。2,3質問をされ、写真撮影。 何かに載るのかしら?


▲花いっぱい。


▲岳人の取材風景。

休憩1回、布引山(8:29着、8:39発)、休憩2回、鹿島槍ヶ岳南峰(9:32着)。昼食休憩。


▲昼食


▲全員集合!

10:35鹿島槍ヶ岳南峰出発。休憩2回の後、ついに難所「八峰キレット」に差し掛かった。 すると、鎖場や梯子が次々に現れた。慎重に進まなければならない。


▲梯子


▲鎖


▲綺麗な花は過酷なところに咲いている!?高嶺の花。

そこからほどなくして、キレット小屋に到着(13:18)。B隊も遅れて到着。

今日はこの合宿唯一の小屋泊の日。今日はのびのびとできそう。


▲小屋の様子

小屋内ではイシハラさん、イマジョウくんとともに酒を酌みかわし、長老会。スモークチーズうまい。

夕食は調理室で調理。小屋にはマンガも置いてあり、至れり尽くせり。とても山とは思えない快適な環境。


▲夕食づくり


▲はるさめ


▲おいしくいただきました。

夕方には素晴らしい夕焼けが見られた。


▲夕日


▲カメラ小僧たち


▲沈む〜!

その夜、マルタくん、オクヤマくん、サクラギくんとともに星空を観察することに。小屋の明かりが邪魔してすこし見づらかった。

夜も深まって、寝床に行くと、隣のひとに寝床を奪われていた。人生初の小屋泊はあまり快適なものではなかった。

8月17日


▲朝食。炊き込みご飯とみそ汁。

5:23キレット小屋を出発。地図には書いていなかったが、なかなか険しい道からのスタートとなった。そんなところでは10人規模の長い隊列は全然前に進まず、悪戦苦闘。 先頭をいく僕自身、道を間違えるなどしてさらに時間をロスしてしまった。途中、隊を分離して再出発。5回の休憩をはさんで五龍岳に着いたのは10:10のことだった。 ここまでG5・G4などの難所をこえて、やれやれといったところで昼食。今年はワンゲルサラダが廃止されていたが、この晴天の下ではぜひとも食べたいと思った。 なにせ、そういったフレッシュな食材に飢えてしまっていたから。(ただ、寒い日にはあのメニューが地獄となるのだが。)


▲難所。梯子。


▲難所。やせ尾根。


▲昼食。イシハラさんがおもしろい。


▲バツばっかり。

トイレ組がさっそうと五竜山荘に駆け下りたあと、11:18出発。11:58五龍山荘着。トイレ休憩の後、12:12出発。 ここから先は割と安定した道を進み、唐松山荘に近づくと多少険しくはなったものの、4回の休憩をはさんで、14:45唐松山荘に到着。

テン場は信じられないくらいの谷底にあって、トイレや水のある山荘に行くまでが地獄のように長いというような劣悪物件だった。 しかも下界が近いにもかかわらず物品の値段が異常に高い。ああ、何たること!!


▲テン場が遠い!

テントを張って、落ち着いたところで希望者で唐松岳へ。約20分で登頂。しばしくつろぐ。テン場に戻ると最後の晩餐。今日はみんなで輪になって食事。


▲WAになって。


▲バクバク。

夜、星空観察会。星空を指南してくれたのはマルタくんとウエシバくん。星座早見と星空を見比べて、星座を見つける。 星見酒というのもなかなかにいいものだ。夜が更けるとともに気温が下がってきた。ここらでテントに退却することにする。

8月18日

なんと2人ほどテントの外で寝た輩がいるらしい。なんとたくましいやつらだ。

5:25全員でだらだら出発。何かの礎に5:50着。5:57にそこを立ち、八方池に6:38着。八方池ではマルタくんとオクヤマくんが走り回っていた。 今気づいたが、この二人の名前をしきりにタイプしている気がするが、気のせいだろうか?それはおいといて、ここらあたりは様々な花が咲き誇っていて、 見ていて楽しかった。7:05に出発して歩いていると、突然野うさぎが出現した。すごくあわてた様子でかけていったのはなんだか可愛らしかった。 その後も花の道を降りて行って、7:50ついに黒菱平に到着した。やっとこの山行が終わったのである。


▲ぞろぞろ…


▲ぞろぞろぞろ…


▲ちんぐるま


▲ハクサンシャジン


▲花いっぱい!


▲八方池


▲着いた〜。

ここからはゴンドラリフトでするすると町まで下山。標高がさがるごとに空気が次第に生温くなっていく様子に、下界の夏を感じた。


▲ゴンドラはらくちん。白馬の町が見える。

下界ではまずコカコーラ。イシハラさんと下界への生還を喜び合った。

そこからず〜とあるいて、みみずくの湯へ。ワンゲラーは下界に降りてすぐ、身を清めなければならない。さもなければ我々はテロ指定されること必至だからだ。

ところでこのみみずくの湯。値段もリーズナブルながら、露天ぶろまでついていて、そこからは白馬の山々を眺めることができた。 ド近眼にとってはぼやけたそれしか見ることができなかったが、気分は良かった。

お清めが終わった後、一行は白馬駅へ。それぞれが食事をしたり、お土産を買ったりした。僕はというと駅前の果物売りのおばちゃんからネクタリンを買い、 ほうばったのち、富山ブラック組とともにとろろと山菜てんぷらの入った冷やしそばを食べた。このそばは生まれて出会ったもっともうまいそばとなった。 「そば=まずい」という式は僕の中で瓦解した。


▲おいしい蕎麦。

多くのメンバーはこの白馬駅から一路福岡を目指すことになった。また、東北に向かう一派もいたが、彼らとわかれたのち、 我々富山ブラック組はゆっくり富山を目指すことになるのだが・・・。
これはまたべつのおはなし。また、次の機会に。


▲福岡をめざす。


感想

今回は全く雨に降られず、晴れが続いて、本当にハッピーな山行となりました。それに、5日間という例年の半分くらいの日程だったので、 程よくマイルドな気持ちで行程を終えられたと思います。また、今回、後立山の短い行程の中にも意外と難所が存在し、 非常にバラエティーに富んだ道のりであったことから、登山の経験値を高める上で良いコースであったとも思います。 3000メートル級のヤマが無く、100名山も少ないコースでしたが、行ってみる価値のあるコースだと思いました。