九州大学ワンダーフォーゲル部【活動レポート】   

2016年 夏合宿前発隊 槍ヶ岳など

2016年8月10〜16日
PL:りゅう
文:さかべ


8月10日

 箱崎のルミエールで食糧を買う。計画表通り買ってみると相当な量でみな困惑。何とか詰め込んだ。自分は運悪くサツマイモ30本に当たってしまい歩荷状態に。寝床は箱キャンの近くにあるシダックス。オール組と寝る組で二部屋をとった。自分はオール組に。特に中村先輩の気持ちのこもった西野カナが印象的だった。

8月11日

 移動日。朝から晩まで電車というのもなかなかつらい。乗り換えがちょくちょくあるので、小刻みに寝た。難波先輩がスマホを紛失。本当に気の毒だ。もし発見されれば実家に届くように手配して先へ進む。自分が芋30本を担いで山に登るのは不可能だと感じたので、隊長に伝えると、この日の夜に目的地穂高駅で芋パーティーをすることになった。そのため新幹線を使う区間を伸ばし穂高駅に予定より早く到着。長野はやはり下界でも涼しく感じる。セブンイレブンで翌日の朝飯を買い、早速芋パーティー。ゆでてバターで食べるというシンプルなものだったが、とても満足できた。30本が15本になった。だいぶん軽くなった。明日は腸の調子がとてもよくなりそうだ。30本が一食分にカウントされていたことに恐ろしさを感じる。歯を磨いて穂高駅前に適当にマットをしいて就寝。水のいらないシャンプーはなかなか使える。

8月12日

 四時起床。急いで朝飯を食いバスへ。かなりの登山客がバスを待っている。一台目に乗れず、二台目に。一時間半くらいかけて登山口へ、山は快晴。人の多さに驚く。山の日強し。難波先輩の分まで写真を撮ろう。燕山小屋まで4.5キロの地点に水場がある。水量がしょぼいため水を汲んでいるときにその上流でバシャバシャやられるとゴミが大量に入る。あまりあてにしないほうが良いかもしれないが水は冷たくてとてもうまい。蚊やアブが少ない。さすがアルプス。燕山のテン場にはテントが50近くあり、急遽大天荘まで行くことに。燕山のテン場がいっぱいかどうかは、合戦小屋で分かる。八時間ほどの行程でかなり疲れた。テン場はとても寒い。水は1リットル200円。ジュースやフルーツ缶もある。有料トイレ。夕飯はスパゲティ。標高が高く温度が上がりきらないのでうまくゆでられなかったが、疲れた後の飯は最高にうまかった。飯が終わると、先輩たちに「こする」というワンゲルにとって重要な作業のレクチャーがあった。今回はスパゲティのゆで汁でココアとコンソメスープを作った。コンソメはいけたが、ココアはなかなかの味だった。まだまだワンゲラーになりきれていないのか、、、。一年は八時就寝、先輩は酒。

8月13日

 朝日がとてもきれい。大天井の頂上までピストン。天井といわれるだけあり、北アルプスの山々が一望できた。日が昇るにつれて暑くなる。もう自分が汚いとかどうでもよくなってきた。朝になって、先輩から自分の寝相が悪かったとのクレームがきた。今日は一番端で寝よう。高山植物がきれいに花を咲かせている。野鳥の種類も下界とは全く異なっている。ホシガラスやイワヒバリを発見した。個人的にはライチョウを拝みたいところ。山に行く前に図鑑か何かで高山植物や野鳥などの予備知識を蓄えておくとさらに山を楽しめるかもしれない。今日の目的地は西岳。三時間半ほどの行程。昨日余分に距離を稼いだので今日は休養日。ほとんど疲れなかった。西岳の山小屋にも水、ジュース、フルーツ缶などが売られている。水は1リットル200円。ここの水はおいしくない。薬品の味がする。大天井の水が恋しい。隊長は水がまずいなんて当たり前と言っていた。これがワンゲラーかと尊敬した。大天井から西岳までの登山道ではとにかくハエがうざい。アルプスのハエは下界のハエと違い、強い。全く逃げない。デコピンをしても死なない。でも刺さないだけましだ。もっとも汚れなどに対して無双状態の自分にとってはどうでもよいことだが。今日の夕飯はビーフシチューに食パンだった。元ラグビー部の木村が全力圧縮した食パン。とても六枚あるとは思えないような塊と化していた。スライスチーズもザックの中で圧縮されてしまっていたため、固体と液体が分離したような状態になっており、昼に食べたサンドウィッチにできなかったためビーフシチューに入れた。美味。そろそろひげがやばい。あまり疲れていないためなかなか寝付けない。

8月14日

ついに槍ヶ岳へアタック。三時起きの五時出発。早くテン場につかなければ、この人の量ではすぐにいっぱいになるだろう。流星群がよく見える。夜空はこんなにも明るかったのかと驚く。日が昇るにつれ、東の山の山容がくっきりしてきた。とても幻想的。槍ヶ岳への登山道はかなり険しい。なんども股がスースーした。天気は快晴。本当に良かった。目の前に槍ヶ岳を望みながらの登山。生きていてよかったと感じた。途中富士山もうっすら見えた。槍ヶ岳山荘は案の定、人の山。テン場を確保してピストンで槍ヶ岳の頂上へ。山頂までの岩場は人で大渋滞。往復一時間半かかった。山頂からの景色は絶景。神になれた気がした。台風が来ていることが分かった。しかも直撃コース。明日エスケープすることになった。残念なことかもしれないが、晴れの槍ヶ岳に登頂できたのでみんな大満足。あまり落ち込んでいる風はなかった。しかし秘境と呼ばれる雲ノ平にはいってみたい気持ちもあった。槍ヶ岳山荘の水も西岳と同じようにまずい。1リットル200円。歯磨きは歯磨き粉を使ってはいけないらしいので水のみでした。夜からかなり風がきつくなった。明日が心配。

8月15日

朝。くそ寒い。最低気温は10度を切っていたらしい。風。おまけに霧。防寒着、手袋の準備をもっとしっかりしてくるべきだったと後悔。飯を食って出発。六時間、下りに下る。途中オコジョとヒキガエルが心をいやしてくれた。やっと温泉、と思いきや登山客が多すぎてシャワーに列ができている状態とのこと。高山駅までバスで下り、下界の温泉に入ることに。最高に気持ちよかった。体がきれいになったとたん山が恋しくなった。下界をあれだけ望んでいたはずなのに、、、。やはり山には人を引き付ける何かがあるようだ。あとは電車で帰るのみ。この日は姫路で泊まる。実家が途中にある人は離脱していった。ネカフェが満席。またカラオケオール。眠たかったが歌いとおした。とても疲れたがいい経験ができたと思う。率いてくれた先輩方に感謝。